大学4年生のときだった。スランプのどん底で練習試合にも勝てずに首を傾げていたとき、先生は「硬いよ」と一言だけ。
練習後、先生のお見送りをするときに、「硬いと仰ったのは右手に力が入っているからですか」と質問してみた。
先生は答えはただ、「君は主将として皆の手本になる剣道もしなければならないし、大将として試合にも勝たなければならないから大変だね」 だった。
質問の直接の答えではないが、この瞬間私の肩がすっと力が抜けるように楽になりスランプはどこかへ行ってしまった。
キャプテンなら誰もが抱える当然の課題を当然のこととして受け入れるしかないこと、そのことに覚悟ができていなかった未熟な私の心と、それがスランプの原因であることを先生は見抜き、的確に諭してくださった。
表面に見える現象だけでなく、その裏の本質に向けた指導、単なる知識の伝達ではなく、心の深層や人格そのものに働きかけ、対象を活かす能力、そんな能力を持つことは指導者やリーダーとしての理想だろう。
そんな指導者、リーダーとしてお手本のような多くの先生に実際に教えを受けながら、何歳になってもその域に近づくこともできない。恥ずかしい。(2011.4.26. h.k.)



