ある青年との会話
「なんで色んな事を言えるの?」と彼が意味の分からない事を言い始めた。どうも自分の言いたい事を話すことが難しい、と言っているようだった。
「オレもいろんなこと言いたいんだけど、頭の中でモヤモヤしているだけでどう言ったらいいか分からないんだよ」
注意をしていると、確かに彼の話しには決められたような言葉しか使われていない様だった。彼は白人と東洋人のハーフで、父親はアメリカ人で母親は日本人だった。彼が小さい時に両親は離婚をして、母親に育てられた。
小学校の低学年にインターナショナルスクールから、学費がかなりかかる事で日本の小学校に転入したが、勉強がついていけなくなり、そのまま義務教育を終えてしまった。インターナショナルスクールでは英語を中途半端にし、その後は日本語も中途半端にしてしまったので、語彙が極端に少なく、少し複雑になると自分の思いを英語でも日本語でも言葉に出来なくなってしまった様なのだ。
「いつもモヤモヤしてるんだけど、暴走族にいた頃は、誰かに命令されていたので楽で、頭もすっきりしていたんだ。自分で考えたり、話したりする事なんかいらなかったからね」
「モヤモヤしてるものが言えなかったらどうするの?」
「どうしようもなくなって、キレルね!」
人は自分の思いや考えを頭の中で言葉に置き換えて整理し、考えを進めたり、話しや文字にして伝える。
その言葉がなかったら、少なかったら、伝える事ができない。唖然としてしまった。普段は考えもしなかったことだった。
でも、似たような事は大概の人が多かれ少なかれ経験した事があるのではないでしょうか?的確な表現をして伝えることは難しい事です。
(2010.3.16. y.s.)



